隠れているものが見えるかも、FFTを使った周波数分析について

FFTという言葉を知っていますか?
FFTはFast Fourier Transform (高速フーリエ変換)の略で、周波数分析に使われている測定器です 。例えば音や振動を測定したとき周波数分析すると、もっといろいろなことがわかる場合もあります。そんな便利な周波数分析についてもう少し詳しく見ていきましょう。

 

 

周波数が高ければ小刻みに揺れ、低ければゆっくり揺れる

周波数〜Hzという言葉は様々なところで、耳にしたことがある方が多いと思います。これは1秒間に振動が繰り返される回数のことです。
家庭用の電気ですと関東で50Hz、関西で60Hzというのはよく知られていますね。無線通信のWi-Fiを使う人でしたら、周波数帯域5GHzと2.4GHzの設定があることは聞いたことがあるかもしれません。
同じように音や振動も周波数を持っています。例えば1Hzの揺れは1秒間に1回、5Hzの揺れは1秒間に5回揺れる振動です。つまり周波数が高ければカタカタと小刻みにゆれ、低ければユ〜ラユ〜ラとゆっくりとした揺れになります。
音の正体は空気の圧力変化で、これも周波数をもっています。周波数が高ければ高い音、低ければ低い音になります。

 

 

音や振動には様々な周波数が含まれている

私たちが普段耳にしている音や、感じている振動には沢山の周波数が含まれています。
中には一つの周波数からできている振動もあり、単振動と呼ばれています。バネの片方を固定して反対側に重りをつけた、ばね振り子などがその一つです。
同じように一つの周波数からできている音の例としては、普段耳にすることは少ないですが、音叉や時報の音などがそうです。

 

乗り物に乗ったときに感じる振動や、人間の体が揺れる動き、単調に見える機械の振動などは、複数の周波数が重なり合ってできています。
人間の声やピアノの音、物を叩いた音にも沢山の周波数が含まれています。

 

では、音の高さはどうなるのでしょうか?周波数が高ければ高い音が出るはずですが、複数の周波数が含まれている場合には、入っている周波数成分の組み合わせだけでは決まらないようです。

 

 

正弦波とは

本題の周波数分析の話をする前に、正弦波というものについてお話しします。
先ほども出てきたばね振り子の位置を縦軸、時間を横軸にとってグラフにすると、曲線的な山が上に行ったり下に行ったりを繰り返す波形になります。これが正弦波です。学校の数学や理科で習ったのを覚えている人もいるかもしれませんね。正弦波がどんなものかというのは、ここではあまり重要ではないので単振動する場合の波形くらいに思っていただいてOKです。

 

 

どんな周波数がどのくらい含まれているかFFTで計算

さて、本題の周波数分析です。
沢山の周波数を含んだ複雑な振動を複数の正弦波に分解すると、どんな周波数がどのくらい含まれているかがわかります。これが周波数分析です。実際の方法はというと、波形を高速フーリエ変換(FFT)して、各周波数ごとの振幅と位相をフーリエ級数の係数として求めます。FFT分析器はこの計算をデジタル的に高速で行います。
結果としては各周波数ごとの振幅と位相が求められます。周波数ごとのパワーをもとめ、横軸を周波数としてグラフにしたものをパワースペクトルと言い音や振動の分析によく使われます。
また、雑音や振動の評価にはオクターブ分析器が使われます。オクターブ分析器では測定したい雑音に1/1 オクターブあるいは 1/3 オクターブのバンドパスフィルタを通すことで、周波数ごとの音圧レベルを求めます。

 

 

 

FFT分析すると、いろんなことが見えてくる

まず、機械の検査や、故障の予測に使えます。例えばモーターの振動が大きくて異常が疑われる場合に、振動の大きさだけでは異常個所の特定は難しいです。でもこの振動をFFT分析すると、周波数ごとの違いから異常が発生している場所を見つけることができます。機械の振動のFFT分析の結果を、正常に動いているときの波形と比較することにより、故障の予測も可能になります。

 

さらに、騒音・振動の発生源を見つけるのに役立ちます。考えられる様々な発生源と騒音・振動がある場所のそれぞれのFFT分析結果を比較すると、発生源を予測することができ特定の重要なヒントになります。
騒音の対策の方法を決めるために使います。防音対策は周波数によって有効な材質や方法が違いますので、対策したい場所の騒音に対するFFT分析結果から有効な方法を探します。
音楽を良い音で楽しむために、ホールやリスニングルーム、講演会場などで音の特性を調整するために使われます。

 

フーリエ級数と聞くとそれだけで、なんだか難しい気がしますが、計算はFFT分析器がやってくれます。購入するとなると高価ですが、昨今ではレンタル業者も多数存在しています。
私たちが得られるのは周波数による特性、そこには機械の故障箇所や音の美しさなど重要な情報が沢山隠されているのです。